3Dプリンターで作るマウントアダプター。アリスタンダード。ややこしいのがシングルヘリコイド。
3Dプリンターでマウントアダプターを作ってみました。
プリントに時間のかかる3Dプリンターですが、空き時間が多いので、いくつも平行に3DCADを書いてます。
欲しい物から早く出来上がってくるがの世の常です。
シュナイダーのシネクセノン28mmを購入しました。早くカメラに取り付けたいのです。
アリ・スタンダードマウント(Arri Standard)。みんさん知っていますか。
アリフレックスという映画用カメラのレンズマウントです。スチルカメラでは見かけない形状の筒型マウントです。
スチルカメラのバヨネットのようなはめこむ感じでは無く、カス線や洗濯機の水道のジョイントみたいに差し込む感じです。
筒上のマウントに溝が切ってあり、その溝にロックがかかります。奥には直進ヘリコイドの廻り止め差し込みがあります。レンズ機構の一部を受け持ったみたいなマウントです。
しかも厄介な事に、アリ・スタンダードマウントには同じマウントに、2種類の違う構造のレンズが存在します。
・シングルヘリコイド
・ダブルヘリコイド
↑左がシングルヘリコイド、右がダブルヘリコイド。どちらも同じアリ・スタンダードマウント。
このシングルヘリコイドがとても厄介なマウントなのです。
ややこしいので特徴を並べて書いてみます。
ーシングルヘリコイドー
マウントの筒の部分がピントリングと一体であり、ピントを回すとマウント全体も回転する。よって、レンズのロックも筒に一周溝がきってある。
奥の直進ヘリコイドの廻り止めにレンズを差し込まないと、ピントが動かない。
シングルヘリコイドのレンズは少数派。
ーダブルヘリコイドー
筒状のマウントとピントリング別体で、ピントリングを回してもマウントの筒は回転しない。
奥の直進ヘリコイドの廻り止めはレンズの位置決めだけの機能。無くてもピントが作動します。
アダプター造りで大変なシングルヘリコイドは、マウント全体を回さなければならないのです。
こんな設計をしてみました。
ロック機構は、マウントアダプターの銅に溝が切ってあり、上からロック板を差し込む方式でです。
レンズのマウント筒部分の溝に入り込むのは1ミリ程度の暑さのロック板ですが、3DプリンターのABS素材は分厚いものとし、アダプターの胴体の溝に差し込まれます。
アダプターの左右の溝に上から差込みます。左右のロック板は下の方に少し周りこむように狭めてあるので、差し込んだ後パチンとハサミ込まれます。
思いの外苦労したのが、アダプターの筒の内径です。何回も試作を重ねました。
最小は緩めの寸法をあてたので、するっと入りましたが、詰めようとすると硬かったり入らなかったりで何回も作り直しでした。
いい感じのトルク感でヌルっと回る寸法も出たのですが、それも失敗でした。
人間、回転に抵抗があると(きつわけではない)抜くときに捻ってしますのです。(僕だけか?)
ABS素材の奥の回り止めのステーをねじ切ってしまったのです。平行にスポンと抜かなければならないのに。知っていてもこれですから、初めて触るお客さんに渡ったら一撃かもしれません。
ロックを外したらスルッと抜けるように最後は軽く回るよう寸法を決めました。
これが問題の回り止めのステーです。短めに設定しました。何の位の長さ必要かわからないからです。もしかしたら長玉で繰り出すと外れてしまうかもしれません。長いと奥に当たらるレンズもあるかもしれません。ただでさえ高価なアリスタンダードのレンズので中でもレアなシングルヘリコイドですから、手持ちのシネクセノン28ミリ以外に触れるわけもございません。
まあ、このアダプターは金属でもないので、重たい長玉やズームは装着非対応です。ついでにやたらと重いツアイスのレンズも非対応とします。汗
出てきて個々数年の3Dプリンターでの製造品が耐久性が未知数なのは言うまでもありません。
そういえば、アリ・スタンダードマウント側しか語っておりません。それではアダプターになりませんね、対側はライカMマウントです。
えー!Eマウントは?。
と思うかもしれませんが、たまたまMマウントの金属のフランジ持っていたのでこの部品と組み合わせる事にしました。3Dプリントと金属のハイブリットです。
Mマウントしておけば大抵のミラーレスカメラに装着出来ますので、各機種作るのはやめておきます。
持っているカメラを皆Mマウントをにしておけば幸せです。
もちろんダブルヘリコイドのレンズも使えます。
シネクセノン35mmは、同じシリーズなのにこちらはダブルヘリコイドです。
mukの自家製3D プリントプロジェクトもこれで3作目。
ただ図面を書けばよいのではなく、3Dプリンターや素材の癖やスライサーでの印刷設定や印刷する角度など、色々と踏まえた上で3DCADのお絵かきに反映させなければと覚えたところです。
ややこしいマウントとは言え、3Dプリンターでは作りやすいマウントでした。
早速、仕様変更がありました。
Mマウントのフランジが変更になりました。
以前の外側がかぶさる形のものは終了になり、平たい形状のMマウントを組み合わせています。
アダプター胴体の内側をリブ状にして、フランジをはめ込むように作りました。
mukカメラサービスの販売ページはこちらです。
装着チェックしたレンズは、シュナイダーのシネクセノンで、
28mm
35mm
40mm
50mm
75mm
すべて35ミリ用です。正常作動を確認しております。